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竹谷隆之の仕事展 2013.6.東京
竹谷隆之の仕事一覧

ニクネカムイに見る竹谷流造形術










①~②縄文式土器の写真資料を前に構想を練る。土器の文様や形状を鬼の形へと変換していく。紙に描かれたラフスケッチを元に、ドローイング・ソフト「Sketch Book pro」でデザインを煮詰めて行く。ただし右面デザインは、実際の立体化の行程中に検討していくこととなった。その際に縄文への対比として弥生のモチーフが盛り込まれることになる。

③~④実際の造形には「スカルピー・プリモ」という樹脂粘土が使用される。
オーブンなどで熱(約135度で10~20分ぐらい)を加えない限り固まらないので、乾燥による硬化を気にせずにじっくりと納得がいくまで、細かなディテールを造形することが出来る。
また、わずかながら透明感もあり、生物的な質感にこだわる竹谷にとっては、使用頻度の高い素材だ。

 


⑤~⑦鏡状のステンレス板の上にスカルピーを盛って、鬼の左半身を作っていく。鏡面に映すことによって擬似的に左右のバランスを調整することが出来る。全体を造形して、両面を整えていく作業は、非情に神経を使うこととなり、逆に時間もかかってしまうという。
スパチュラ(塑像用ヘラ)でディテールを付け、エナメルシンナーをつけた筆で面を整えていく。

 

 

 


⑧~⑪左半身の造形に、ある程度納得がいったところで、右半身の作業に移る。左半身にオーブンで熱を加えて硬化させた後、さらにその右側にスカルピーを盛りつけていく。大まかな形を付けた後に、スパチュラで細部を整えていくのが基本的な作業である。 先述の弥生式のテイストはこの段階で試行錯誤しつつ、全体のバランスを見ながら盛り込まれていった。

 


⑫~⑮全体が形になったところで、パーツごとに分割し、さらに細かいディテールが加えられていく。 硬化させたスカルピーに、新たなスカルピーを盛ってスパチュラで形を整える。 また、硬化したスカルピーは、硬めの蝋のような質感なので、これをリューター(電動研削機)で彫刻することもできる。 盛る、整える、削る……が、得心のいくまで繰り返される。

 


⑯~⑲塗装では、下塗りにオイルステインという着色剤を使うこともあるが、今回はラッカー系塗料でクリアブラウンを調合した。 表面の細かい溝に染み渡り、質感を際立たせる。その上からエアブラシで赤いクリアカラーを吹きつけることで、表面に透明感が出る。 最後に、表面の血管のような暗色部分やメタリックな歯などの細かい部分を筆塗りして、完成である。

 

 完成



文:木川明彦




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